発勁の原則
2022年4月16日(日)
今年最初の台風1号が通過。
稽古から帰って海岸偵察。
サイズ胸肩で南風結構ワイド。
皆さん乗れてはいますがあまり走れない。
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About 太気拳
このところブログ更新どころではなかった。
年末から教え方を工夫。
言ってみればカリキュラムの作成に精を出していたからだ、
それを下敷きにこの4か月いろいろ工夫。
思ってもみない変更もあったがそれなりに成果。
話した概要を箇条書きっぽいですが少し整理しておきます。
稽古でやった事を思い出して頭の中を整理してください。
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稽古内容はひたすら「発勁・発力」を出来るようになるのが目的。
推手も組手も発勁が目的の稽古だからです。
発勁自体は普通に運動できる能力があれば誰でもできるものです。
ちょうど波乗りが誰でもできるのと同じです。
その中でチャンピオンになれるかどうかは別の問題ですが、
誰でも波乗りが出来るように、
誰でも発勁出来なければ、何のための稽古か判りません。
速度や強度・変化は個性に依りますが、発勁自体は可能です。
以下はこの間説明した内容を散文的に書いたものです。
発勁の原則
物理法則との親和性―――ニュートン力学の運動の三原則
慣性の法則・質量と加速度に関する法則・作用反作用の法則
自身の重力と親和
注目すべきは誰でも持っている位置エネルギー(重量)とその方向転換
位置エネルギーの運動エネルギーへの転換―上下の力
自身の重量(位置エネルギー)はリソースつまり資源(潜在から顕在へpotential energy→actualized energy)
まずは自身の重量(位置エネルギー)の支え方の転換―石橋の要石(かなめいし)の分力(垂直から水平へ)
立禅は位置エネルギーの水平方向への転換準備(足首の外螺旋=これが「樹を抱くように立つ」の根本)ちなみにこれは立禅に限らず空手その他の武術でも同様―一重量を支えない質量移動=台車様の移動形態―接触・作用反作用・発勁
潜在的な位置エネルギーの運動エネルギーへの転換(初期は横歩き)とそれを支える二つの楔を核にした強靭な体幹。
構造的な理解―――効率的な力の伝達(特に腕に於いては注意)全ての運動は円と直線からなる、円運動は大負荷が掛かり、直線運動は小負荷(クランク・シャフト)。
震動(強靭な体幹)の原理は板バネの構造=基盤となる板の両脇に二枚の異なる金属板を張ることで、板バネが出来上がる=大腿骨と頸骨が基盤であり、外旋に依る外と内の筋緊張が二枚の異なる金属板にあたる。
足首の外旋・螺旋運動による上体の落下運動(位置エネルギーの運動エネルギーへの転換)反発する弾力=内旋・螺旋運動(滑車運動・ヨーヨーに似たエネルギー保存法則)これにより上下と左右の力が保証される
脚部の抜重(外螺旋力)と加重(内螺旋力)板バネの弾力獲得(外旋運動は同時に螺旋でもあるため外螺旋運動と表現、内螺旋も同じ)
最も基本になる動き
具体的には、瞬間的に抜重・加重を繰り返すこと(自由落下より素早く)により、自身の持つ上下の反発力(運動エネルギー)を確認する。同時にこの時に腰の楔の緊張及び横隔膜の緊張が引き出される事にも注目する。この楔と横隔膜の緊張が前後の力を保証する(ここにおいて上下前後左右の六面力が保証される)。ちなみに六面力とは位置エネルギー(上下)の運動エネルギーの水平方向への転換の可能性を意味する。つまり足首の内外螺旋と楔・横隔膜が水平方向の鍵。
これが確認できれば、後は支点転換、或いは時間差転換で方向は上下前後左右に方向を定め運動エネルギーを発揮することが可能になる(この初期が左右歩法)。
また上体では腰を支えるのと同じく胸・肩・背・肩甲骨周りの協調による外螺旋・内螺旋力が腕を支えると同時に上体の強度を高める(荷崩れしない体幹の強靭さ)。
これを「背の楔」と名付けておきます。背の楔が無いと、獲得した運動エネルギーを腕に伝えられない。
これは揺りの動き=脚部の内外螺旋力に腕肩背も同調する=腰と肩の二つの楔の連携・協調。
具体的には、初期は腕を水平に揚げ二人に持ってもらい引き寄せ押し返すところから始め、徐々に方向を変え、脚部の抜重加重外旋内旋と同調させる。
抜重加重による体幹部の緊張と腕の動きの調和は、中国拳法に伝統的な稽古法「震脚」に顕著にみられる。
基本的な発勁
腰での発勁から始め、肘そして肩での発勁に進む。
生理的な理解―――神経伝達の順序と反応速度
神経伝達速度は、その発信元の脳に近いところが最も速いのは自明。伝達は脳から頸骨・背骨・腰椎へと連なるため、それらを体幹を起点とした筋緊張=動作は神経伝達と同様の最も速い経路をたどる(反応速度の改善、驚力、或いは熱い鉄板に触れるような・・・)。
抜重加重は腰椎と密接に関係し、腕肩背の内外螺旋は頸骨と背骨に由来し、首・背・腰の幹神経の活性化に繋がり、精神の安定、亢進、高揚をもたらす
発勁を受ける側の物理的理解
直立する物体の上方が後方に傾けば、朽木が倒れるように自身の重力で倒れ、その後押しを指先で行う技術。傾けさえすれば動きの助長は指先の力で賄える(発勁の方向性)。
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